龍山會には新栄町商店街振興組合という上部組織があります。そこで理事長を務めるのが永川俊彦氏。
子どもの頃から新栄町の祭に携わり、新栄町と龍山會の歴史を知る一人です。近年、無料休憩スペース(店舗ブース)や大蛇山交流プラザ建設など龍山會が大きな成果を上げる事ができたのは、彼の尽力のおかげです。
そんな永川氏に今の新栄町の祭に関して感じている事や、龍山會のこれからについてムネノウチ(胸の内)を聞いてみました。
■インタビューした日:2018年7月15日
(新栄町大蛇山交流プラザにて)
■聞き手:マチドリ(当サイトの運営者)
>まず最初に、正式な肩書を教えてもらえる?
新栄町商店街振興組合の理事長。
2017年の大牟田大蛇山祭り振興会実行委員長
ですね。
大蛇山祭り振興会実行委員長では、大正町通りの祭本部でスケジュール管理や警備を担当していました。あとは市長の補佐とかやってましたね。
>永川君の大きな実績を上げると下の三つがあるんで、これらについて詳しく話を聞いていきますね。
●無料休憩スペースの立上げ
●新栄町大蛇山交流プラザの建設
●龍山會創立30周年記念祝賀会の実行
よろしくおねがいします。
無料休憩スペース(店舗ブース)
>まずは無料休憩スペース(店舗ブース)の立上げについて。どんな流れでやる事になったんだっけ?
もともと新栄町の子供だったので、小さい頃から祭りに参加していました。高校を卒業して10年ほど大牟田を離れていたのですが、帰ってきたら龍山會はしっかりした組織になっていて。自分も何かやりたい!祭に携わりたいと思っていました。新栄町のために、龍山會のために何かしたいなって。
でも正直何をしたらいいのかわからなくて…そしたらある時に無料休憩スペースの立上げを依頼されまして、やってみようと。
>永川君としてはバチっとハマった感じ?
皆さんのご協力のお蔭なんですけどね。結果、良かったなと思っています。
>しかし最初はホント大変やったよねw電源落ちたりゴミは沢山でたり…
最初の年はほぼクレーム処理でしたからねw
>いつも言うけど、一年目を永川君一人にお願いして、ほぼ見殺し状態にしてしまったのがホント申し訳なくてね…
そう仰って頂けるんですけど、自分としてはあれは感謝していますね。祭に対して一番ベストな関わり方の道しるべを作ってもらえたのが良かったです。
>二回目以降頑張ってくれたのは何が理由?「二回目はもうムリです」って言われてもしょうがないかなと思ってたんだけどw
嬉しかったからですね。自分の居場所を頂いたなと思いました。
大蛇を作成するにしても山車を動かすにしても専門の人がいる。更に祭り二日間のスケジュール管理をする人もいる。そんな中で自分にしかできない仕事って何かなと考えた時に、龍山會の皆さんがやりやすい環境を整える事かなと思いまして。その一環として無料休憩スペースをやると。環境づくりは自分に合っていますね。
>お蔭で年々来場者も増えてて大成功になったよね。途中でキッチンカー限定に変わったけど、あれはポイントやったよね。永川君のアイデア?
ホントは地元の商店街の方に出してもらいたかったんですけど、祭り当日は自分の店が忙しいから、出店が難しいんですよね。そんな中で内田會長にあるお店を紹介して頂いて、キッチンカーで一度来てもらったんですよ。そしたら、かなり売れたらしくw翌年以降も来て頂けて。さらに仲間も連れてきて頂いて。
キッチンカーなら準備も簡単ですし、見た目も華やかで。しかもお店の方から「出店したい」と言って頂いてるのがありがたいですね。
>店にも潤ってもらえるのは、こっちとしても嬉しいもんね。
龍山會を見に来て頂いたお客さんにも喜んでもらえるし、出店した方達にも喜んでもらえるし、運営側も準備が減って助かるし。かなりいい状態になっていますね。
>今は永川君が祭当日は大蛇山祭り振興会実行委員の方が忙しいので、黒田君に引きついでもらってるけど、これからもこの調子でがんばってもらいたいね♪
新栄町大蛇山交流プラザの建設
>次は交流プラザの建設について。ぶっちゃけ大変やったろ?
はっはっはっ
大変でしたね…
ただ初代(*初代會長:堤紀雄)の祭に対する想いがあったので。
きっかけは初代だったんですよ。
最初に初代が色々と動かれていて、その結果助成金が適用できるとわかりまして。
大牟田市役所に話を聞きに行ったのですが、締め切りが間近で。そこから急いで資料を作ってギリギリでした。その後の審査では内田會長と北島さんと私の三人で有識者10数人以上いらっしゃる前でプレゼンしまして、どうにかOKがでました。
でも、その後が大変で。
補助金だから税金を使うって事なので、色々なところで心情的な問題がおきまして…色々貴重なご意見も頂きました。
>あーそういうのもあったのか。
色んな状況・環境の方がいらっしゃいますからね…その方々にご理解を頂けるよう調整していって。
更に助成金で足りない分は協賛を集める必要があったのですが、これが思うように集まらなくて…
そんな中でニューガイヤグループ様から大口の協賛を頂けたので、なんとか目標の金額が集まって無事に建設ができたんですよ。
>協賛をお願いしていくのって、ホント大変よね。
そうですね。
ただ、さっきも言いましたが、こういった環境を整える事は自分の仕事だなと思っていますので。楽しくやらせて頂いてます。
何よりも私が理事長になってすぐ、龍山會が六代目から七代目の内田會長にかわりまして。子どもの頃から知っている先輩の内田會長と自分のコンビでできる時期に、できる事は全てやっておきたいなと思いまして。その最初が大蛇山交流プラザと30周年記念祝賀会でしたね。
>大蛇山交流プラザは大蛇山の常設展示がポイントやけど、これ良いね。前を通っている方もよく足を止めて見て頂いてるもんね。
そうですね。見て頂いているようで良かったです。再開発でガーデンホテルがこっちに移ってくると、もっと見て頂ける人が増えると思います。
>そういえば新栄町は再開発の話あるよね。どうなるんやろ?
まだ明確にはなっていません。
ただ新栄町は駐車場内に店舗ブースがあり、交流プラザがあり、道路を歩行者天国にできます。再開発の影響もあるでしょうが、どう転んでも対処できる地盤は出来ているかなとは思っています。
仮に大牟田の祭りがナシになっても、新栄町だけで独立自尊で祭りをできる状況を構築できているなと、近年思いますね。
>交流プラザは永川君を中心に北島さんと内田會長の三人で建てたもんね。これに関してホント感謝してるよ。
最後の調整はやりましたけど、大蛇山交流プラザは、これまで携わってこられた龍山會の皆さんの想いがあったから完成できたと思っています。
龍山會を立上げられた初代以降、歴代の會長はじめ幹部の皆さんが繋いでこられた30年という歴史的背景があるからこそ、バトンを受け取った自分達もできると思ってやりましたから。
新栄町龍山會創立30周年記念祝賀会
>30周年記念祝賀会もやってくれたね。
>想像以上にちゃんとしててw
今までお世話になった方達に感謝の意味を込めて、という意味では良かったですね。
ただ、現役の皆さんも交えてでできたらもっと良かったんですけど。会場や予算の都合でできなかったので…今頑張っている人達と今までお世話になった人たちの交流の場であっても良かったなとは思います。40周年や50周年の式典をされる方は、それを踏まえて頂けるとw
>やる前提ねw
ですねw
でもホントに定期的にやっていった方がいいなと思いますね。
>商店街振興組合と龍山會って今ホントいい感じやしね。六代目時代と違ってw
色々ありましたからね(笑)
>偶然なんやけど、普段から交流のある永川君と内田會長の二人が組合と會のトップになったし。やっぱやりやすい?
これ以上やりやすい人はいないですね。気兼ねなく話できる関係ですし。子どもの頃から龍山會に出られてる内田會長が、30年祭をやってこられて會長になられた。僕自身これがなにより嬉しいですね。
>二人イイ感じやな。しばらくこのまま頑張ってもらいたいね。
そうですね。このまま前に進めればいいですね。
龍山會の現状と今後について
>2017年の大牟田大蛇山祭り振興会実行委員長をやって、第三者的な立場から龍山會を見る機会があったけど、実際どう見えた?
やっぱカッコ良かったですね。一番感じたのは、わ組も含めた一体感と礼節を重んじる部分です。これがとても強く感じとれて、私自身誇らしかったですね。外から見ていても。
龍山會を改めて好きになりました。
現役の會員の方も誇りをもって、自信をもっていいなと思いましたね。今やっている事は間違っていないので、プライドをもってこのまま頑張って欲しいと思いますね。
できれば、こういう客観的に見る機会を作りたいなとも思いましたね。
改めて言いますが、やっぱ一体感はホントすごかったです。
>ほー、一体感ね。礼節の部分は意識しているんで、感じ取ってもらえたのは素直にうれしいですな♪逆に改善した方がいい部分とかは?
んー
それはないのですが、「俺が俺が」という部分は今後も出さないでいったらいいかなと。
龍山會が一番だと思うのは大事ですしそう思ってもらいたいんだけど、だからと言って「他がどうだ」「あそこはどうだ」とかそういう事ではなく、龍山會は独立自尊でやっていくっていうのは大事かなとは思いますね。
あと、若い人達はどっかで劣等感じゃないけど、他の山と比べられて下に思われてると感じる部分があるかもしれない。でも、そんな事ないよって知ってほしいし、プライドを持ってやり続けてほしいですね。
新栄町龍山會って何だかんだで注目されていると思うんですよね。手前味噌ですけど。だからこそ胸を張って、龍山會としてのプライドをもってやってもらいたいと。
>今後はどういう事を考えてる?
龍山會は組織としてしっかりしてきた→町のイベントを開始した→イベントがにぎわってきた。そのタイミングで交流プラザも建設できた。ソフト的にもハード的にもバランスよく、前に進めているのかなと思っています。
去年(2017年)の大蛇山祭り振興会実行委員長の経験で祭全体の仕組みを知る事ができたので、来年以降はこれを活かして龍山會が前に進むために、更にやりやすい環境を作っていきたいですね。
また會の外とのパイプ役もそうです。外とのパイプがあった方が何かと役に立つだろうし。そういう部分はここ数年積極的に携わらせてもらいましたし、今後もやっていきたいですね。
>そういう見えない部分での働きホント重要やもんね。永川君には直接祭の準備するのとは違う部分で大きく貢献してもらってるよね。
あとはイベントしかり交流プラザしかり、龍山會だからこそできることを増やしていく事が大事じゃないかなと思っています。
来て頂くお客さん目線で無料の休憩スペースを作ったという、この利用者目線の発想というのも龍山會だからこそできる事かなと思います。
もっともっと色々あると思うんですよね。龍山會だからこそできる事。新栄町には場所もあるし、町内もあるし、仲間もいるし、この辺の強みを活かしてもっと増やしていきたいなと思います。そして、そのお手伝いをやっていきたいと。
>うちにしかできない事かぁ。少しずつでも具現化していきたいね。
そう思います。
>では最後に新栄町龍山會の会員に向けてメッセージをお願いします。
僕自身も近年思っているんですけど、やっぱり新栄町龍山會の會員である事にプライドを持ってもらいたいなと思います。歴史を知って、プライドを持ってもらいたいなと。
そして僕自身もそうでありたいなと思います。
>今日は貴重な話をありがとうございました!これからもよろしくお願いしますね!
よろしくお願いします!
<インタビューを終えて>
龍山會の會員とは違うアプローチで新栄町の祭に関わっている永川理事長。言うなれば、龍山會は祭りの実行部隊で、新栄町商店街はそれをバックアップしてくれている存在。その商店街のトップとしての苦労や功績を皆さんに伝えたくて、今回のインタビューを設定しました。
新栄町の祭には、このように見えないところで協力をして頂いている方がいるという事を、会員の皆さんにどうしても知ってもらいたくて。「自分達の力でやってる」「自分達はスゲー」みたいに勘違いしないよう。常に感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。
永川君の「自分にしかできない事」「龍山會にしかできない事」という言葉は強く印象に残りました。もし今、會の中で自分の居場所が欲しいと感じているなら、皆さんも探してみるといいなと思います。ただ厄介なのは、これって必ず見つかるとは限らないんですよね…でも見つけたいなら探していくしかない。そこは私も少しお手伝いできるかもです。何か思っている事があったら、遠慮なくマチドリに話してみて下さい!【秘密厳守♪】
アナタが想像している以上にフレンドリーです。マチドリは!