九代目の新栄町龍山會において、全ての実務を仕切る副會長の髙田嘉寿馬・清田竜馬・竹下公登。會長と共に長い下積み時代を耐え抜き、會の舵取りをする立場まで上り詰めました。
そんな三人に會長との関係、今の新栄町の祭に対して感じている事、自分達がやりたい事など、三人の秘めたムネノウチ(胸の内)を聞いてみました。
■インタビューした日:2026年7月2日
(えるる にて)
■聞き手:マチドリ(当サイトの運営者)
【自己紹介・役割】
>まずは自己紹介と三人それぞれの役割を教えて下さい。
カズマ:第一副會長です。役割としては、囃子とわ組と救護をメインで統括担当しています。
キヨタ:第二副會長で、運行統括責任者として警備、進行、花火、備品製作、かませを担当しています。当日がメインとなります。
タカノリ:第三副會長で、総務、広報、販売、外部機関との窓口を担当しています。
>各々、他の副會長をどうみている?役割や働きぶりなど。
タカノリ:自分にはできない事をやっているなと、率直に思います。カズマの囃子とわ組との間の色々な調整や(キヨタ)リョウマの当日の警備などの対応をみていると、自分だったらそこまで入り込んでできるかな?と思っています。
キヨタ:自分も同じです。自分にない動きができるなと。タカノリの外部とのコミュニケーションであったり、カズマの囃子・わ組・救護という一番の大所帯の仕切りであったり。自分は担当する人数も少ないしメインは当日なので、二人の方がしっかり働けているなと感じます。
カズマ:お二人とも3つ上の先輩で、かわいがっていただいています。キヨタさんの担当されている部署はクセ者揃いなんですが、キヨタさんが中和剤となってみんなをまとめて、うまく当日に向けて各自のテンションを上げてあげていってるなと。
タカノリさんについては、スノーボードや海など色々な遊びを教えていただいたのですが、その際の段取りやスケジュール管理が完璧でした。今は外部との調整や段取りにおいて、その力を変わらず発揮されているのがすごいなと思います。
>タカノリの若い頃の遊びで発揮されていた段取り・スケジュール管理の能力は、今の會の役割でも同じく活かされていると(笑)
タカノリ:自分は特に意識せず、感覚でやっているだけなんですけどね(笑)
【副會長として感じた・感じている事】

>去年、副會長として初めて祭をやってどう思った?何か感じた事はある?
カズマ:人を動かしていく事の大変さを特に感じました。囃子頭時代は基本的に自分に賛同してくれている人材を動かしていたので、まだやりやすかったんです。それが、今は見る範囲が広くなって、いろんな考え方や想いをもつ人材も動かしていく必要があります。各自との距離感も難しく感じていますし、これを一つにまとめていくのが大変で…今でも試行錯誤を続けています。
>人を動かす大変さはホントあるよね。
カズマ:ですね。特に今の若い世代は感情が表に出ないケースが多いので、今の自分のやり方で正解なのか?の判断も難しくて。
>カズマとしては、若い世代の感情を引き出していきたい?
カズマ:そうですね。ただ、正解のアプローチ方法はまだ見つかっていませんが。
>キヨタは?
キヨタ:初めてで不安はあったのですが、終わってみるとみんな笑顔だったので良かったなと思いました。「笑顔」というのは九代目會長が会議の挨拶でも言及していましたが、自分も同じです。実は幹部になる前から「みんなが笑顔で祭をできるように」というのが個人的なテーマなんです。今の大蛇作製の様子をみていると、みんな笑顔で楽しそうにやっているので、そこは良かったなと感じています。
>なるほどね。タカノリは?
タカノリ:會全体を見ていくことは大変だろうなとは考えていました。ですが、九代目會長から自分達三人の役割分担を明確にしてもらったし、更にTODOリストまであって。お陰でいつまでに何をやればいいか?がはっきりしたので、自分達がそれをしっかり遂行できれば問題ないのかなと思っていました。実際は準備の最後は時間がなくてアタフタしたところもあったのですが。
ただ、1回経験して(ちゃんと二日間の祭ができたことで)自信は付きました。
>最初に出た頃と比べると、今見える景色は違うかな?
キヨタ:最初の頃は二十代前半で誰かに付いていっている感じで、自分が楽しけりゃいいや!って感じだったけど、會全体を見る立場になった今は、目線、見える景色は全然違います。
カズマ:會員が楽しめるような舞台を作っている。という感覚はあります。
>ちょっと俯瞰して見るようになってきた感じかな?
カズマ:そうですね。
タカノリ:立場が変わっていくにつれて視野は自然と広がってきたので、見えている景色はやっぱり違いますね。
>各自、自分が副會長をやる意味はどう考えている?
キヨタ:自分の部署はやっぱりクセが強い奴が多いんですよ。いろんな事に素直にOKと言えない人間もいて。でも、そこに緩衝材的に自分が入ることで、まとめていく事ができている。そういう部分では自分の役割はこれだったんだな、自分が副會長になった意味はこれだったんだなと、最近になって感じています。
>適材適所だったと?
キヨタ:そうです。それはタカノリもカズマも同じ感覚だと思うんですよ。広報だったり、囃子・わ組だったり。
>副會長は今の三人で良かったな。と思うところはあるのかな?
キヨタ:間違いないです。
カズマ:そう思います。
タカノリ:今全体のバランスがとれているのをみると、やっぱり福永會長はさすがだなと思いますね。
>副會長三人の役割を明確に分けたのは、會長の手腕やったね。
キヨタ:そう思います。
【會長との関係】

>副會長の話が来たとき、どう思った?
キヨタ:それはもう、福永が會長やるなら周りは固めるよと。もともと九代目の四人の中で誰が會長になっても、他の三人は支えるよ。という話はしていましたし。
カズマ:遂に来たか!という思いはありました。以前、3〜4人で大蛇を作っていたときから、「いつか會長、副會長になったら」的な話はしていましたし。
>會長から依頼されている役割とは別に、他に自分なりに考えている役割とかはある?
カズマ:會長となると厳しい決断が必要になりますし、時には厳しい発言もしなければいけない。そういう時の周囲へのフォローは自分たち三人がやっていくべきだと思っています。
>いいね。會長の発言の意図や想いを、噛み砕いて會員に伝えていく役割は、副會長として大事だと思う。三人それぞれが話しやすい會員の層も違うんで、各自がフォローをやる事で、會の中により広く・深く會長の本当の想いが伝わっていくよね。
>會長のムネノウチでは、「(副會長に)決定権を渡すことに不安は無かった?」の問いに「全く無いです。」と言い切ってたけど、三人は実際どう?決定権をもらった事によるプレッシャーや、逆にやり甲斐はある?
タカノリ:會長からは「決定は任せるから」と言われます。そういう言葉から信頼されていると感じますし、より一層責任感は増します。もちろん、やり甲斐はありますね。
カズマ:権限をもらって「何かを決めていく」という行為にプレッシャーが無かったかと聞かれると、それはやっぱりあります。でも、「任せる」と言っていただいている部分には、やはり會長からの信頼を強く感じますし、それに応えていかなければいけないという気持ちは強いです。
タカノリ:うん。そうやね。
カズマ:今の立場や環境では、普段の生活ではできない経験がたくさんできています。その経験を仕事にフィードバックできていますし、問題を解決していく度に自分の成長を感じます。そういう部分で、やり甲斐は感じますね。
キヨタ:會長からの圧は確かにあります(笑)が、それが苦になる事はありません。自分とタカノリは會長より年上ですが、もはやそういう感覚はなくて。會長は會を離れれば経営者ですし、自分が持っていない感覚を持っているので、接していると自分への刺激になります。
>「そのために長い時間をかけて信頼関係を築いてきました。今では、副會長の三人は僕の考えも理解してくれていると思っています。」とも言ってるけど、コレについては?
キヨタ:もちろん信頼関係はできています。一方的な関係ではないですし。四人の絆は強いです。
>會長からのトップダウンで全てが決まるわけでもない。と?
キヨタ:はい。四人の間ではしっかり意見を言えますし、會長もそれを聞いてくれます。
>この四人で良かったな、この四人だからこそ良かったな。という感じかな。
キヨタ:そう思います。
タカノリ:ですね。
>會長は「ひとつ」「みんなで」という発言が多いけど、それについては、どう思う?違和感とかも含めて。
タカノリ:違和感はないですし、「ひとつ」と同じような意味で「一体感」が新栄町龍山會の強みだと思っています。独自のカラーが出せていると。會長が創ってきた今の体制だからこそみんなが同じ方向を向いていて、これが一体感に繋がっていると感じています。
>タカノリから見て、新栄町龍山會を一言で表すと「一体感」という感じかな?
タカノリ:そうです。
【信念】

>二人はどう?今の會をどう見ている?
カズマ:10年以上前の人が少なくて大蛇作製でも苦労していた頃から、どうやったら人が集まってくれるんだろうか?と色々試行錯誤しながらやってきました。その結果、今では多くの人が集まるようになりました。今年の練習初日の賑わいは、「祭直前か?」というくらい盛り上がっていて。その様子を見て、「みんなで」「ひとつ」が形として表れていると感じました。この輪をもっと広げて「一体感」を強めていきたいと思います。
>「一体感」については、タカノリと同感なんやね。
カズマ:そうですね。以前は「囃子」「わ組」「大蛇作製」など、各部署が別れていた感じがあったので、ここの垣根を無くそうと動いてきました。今後もみんなで大蛇を作って、コミュニケーションをとっていく事で、この「一体感」がより増していくと思っています。
キヨタ:二人が言う「内部的な評価としての一体感」は、自分も確かによく感じます。それに加えて、自分の義理の兄(アメリカ人)も「一体感」があると言っていました。昨年ハワイから来て初めて大蛇山を見たにもかかわらず、新栄町龍山會が一番まとまっていると。内輪での評価だけでなく、外部からの評価としても「一体感」はあるんだなと感じていますね。こういう事を聞くと、この會で良かったなと、すごく思います。
>會の外からみても「一体感」を感じてもらえているという事ね。
>今の會に対する三人の認識はわかりました。「一体感」も含めて、これから會をどうしていきたい、とかある?要望、野望なんでも。
タカノリ:「一体感」は今後も磨き続けます。そして、やっぱり「大牟田の祭と言えば【新栄町龍山會】と言われる存在になりたい」という想いはあります。
>その為に何をやって行きたい?
カズマ:未来につながる土台作りはやっていきたいと思います。より多くの會員が集まるように。そして「来年また出たい」と思ってくれるように。みんなが笑顔になってくれるように。
>次の代のための「土台」は九代目のテーマのひとつなのかもね。九代目のうちにできそうですか?
キヨタ:できます!
>おー、それは楽しみですね。
【會員に向けたメッセージ】

>話は変わって、今の會員に伝えたいことはありますか?
タカノリ:自分自身の成長を実感してほしいです。人としての。會の活動を続けていく事で成長に行き着くというか、そういう境地を迎えてほしいです。
祭を続けていくなかで、最初出始めた頃とは環境は変わっていき、それに伴って気持ちも変化していきます。気持ちが停滞する時期もくる。自分はそういう時期に歴代會長のみなさんから声を掛けていただいた事で、続ける事ができました。そういう経験を経て、今では周囲のみんなに育ててもらってるという気持ちも生まれました。そう感じると、更に成長できるんですよね。
キヨタ:やっぱり最初の頃は「楽しい」で始まるんですが、その後「キツイ」と感じる時期を迎えるんですよね。でも、この「キツイ」を感じ始めた頃から「達成感」と「一体感」を感じる事ができるんですよ。だから、そこはやっぱり続けて欲しいです。今何かしら不満を持っていて、もし「會長には言いづらいけど、キヨタになら言えるよ。」という事であれば、何でも言ってもらいたいなと思います。
あと、自分は祭が好きだ、大蛇が好きだとは別に、「仲間がいるから」という理由で龍山會を続けています。「アイツがいるから頑張ろう」みたいな。何と言うか…友情とは違う感覚で、「絆」と表現しているんですが、これが大事ですね。會員のみんなにも「絆」をつくれるような・感じられるような付き合いをしてもらいたいです。
カズマ:私は早い段階で囃子頭という役を頂いて、周囲のみなさんに助けられながら、多くの成功体験を積むことができました。実はこれは自分の人生のターニングポイントになりました。成功体験が自信につながり、仕事にも良い影響をおよぼしています。會員にも成功体験を積んでほしいですし、がんばって自分たちについてきてくれれば、そういう体験を提供していきます。
そしてもうひとつ、今の新栄町龍山會は會員同士の縦の大きなラインはできてきたと思うので、次は横のラインを強くしていってもらいたいです。一人ひとりが近くの人とのつながりを強くしていくことで、會がより強くなっていくので。「自分の近くに、會に対して心の距離が遠くなっている人がいたら、その人たちの手を引っ張ってやってね。」という感じです。
>ひとりひとりが横にいる人の手を引っ張っていく事で、一体感は強くなっていくよね。副會長として目指す土台もより強固になっていくだろうし。
>(広報:タカハシから)會長、副會長、各部署の長など上を目指していくとしたら、何かやった方がいい事とかありますか?若い世代の會員にアドバイスをお願いします。
カズマ:自分を出す。
タカノリ:自己主張が苦手な人でも、大蛇作製や集まりに顔を出して、与えられた仕事をコツコツこなしていけば、上の方たちが引き上げてくれるので。まずは「顔を出す。」かな。
カズマ:「なんでんかんでん一生懸命」です!
>今の會員から會長、副會長をめざしたい!という人間がでてきたらうれしい?
キヨタ:そうですね!
カズマ:土台を作るので、その上に乗る人たちが増えてきたらいいなと思います。
キヨタ:頑張りますので、みなさんよろしくお願いします。
【今年の祭りに向けたメッセージ】
>では最後に、今年の祭全体に向けてメッセージをお願いします。
カズマ:本番まであと少しです。大蛇作製も囃子・わ組の練習も大詰めで、準備はしっかりできています。今年もみんなですばらしい祭を創り上げていきます。ぜひ新栄町にお越しいただき、新栄町龍山會の「みんなでひとつ」の祭を見ていただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。
<インタビューを終えて>
彼ら三人の副會長という役職は誰かに与えられたものではなく、彼らが「自らの行動」で勝ち取ったものです。
みなさんに伝えたいのは、副會長三人の実体験・苦労がベースとなって発せられた本音。
會員のなかで、彼らの本音に少しでも感じる事があったなら、ぜひ、その気持ちを誤魔化さず、一生懸命「自らの行動で」彼らの気持ちに応えてもらえたらいいなと思います。
「なんでんかんでん、一生懸命。」の精神で。






